アトリエ探訪記-2

somewearclothing
ハチキリエさん

Somewearclothingの鉢木さんは、AMBIDEXでブランドのパタンナーを経たのち、フリーのパタンナーとして様々なブランドと関わり、2015年ご自身のブランドを立ち上げました。私が出会ったのはフリーのパタンナーとして活躍されていた頃。いつも穏やかで冷静、デザイナーから信頼されていて、テキパキと仕事をこなす姿はかっこよく、尊敬の眼差しで見ていました。パタンナーとしてのお仕事もたくさんある中で、自分のブランドを始めたのはなぜだろう？ずっと気になっていたことを所沢にあるアトリエで聞かせてもらいました。

-今回お話をおうかがいする前にsomewearclothingについて、紹介しているサイトはあるのかなと思って検索したんですが、すごく情報が少なくて。普段はどんなところで販売をされていますか？

そうですよねえ、大々的に宣伝したりすることもないので、分かりにくいですよね。不定期でクラスカさんの京都店と吉祥寺店、itonowa LifeさんでPOP-UPのイベントをさせていただくのと、自分のオンラインで細々と販売しています。あとはAMB100貨さんでは別注アイテムを一緒に作らせていただいていました。

-somewearclothingの服はベーシックでアレンジもしやすくて、個人的にもっといろいろなところで見れたらいいのに〜と思ってしまいました。

そう言ってもらえると嬉しいです。展示会の開催は不定期なのですが、自分なりに少し営業活動などもしていて、少しずつでも取り扱ってくださるお店を増やせたらと思っています。毎年イベントを楽しみにしてくださっている方もいるので、これからもPOP-UPでの販売は大切にしていくつもりです。来年はイベントに合わせて新作を作って、定番と合わせてご紹介できたらと思っているところです。

-私がハチキさんに出会ったのは独立されてすぐの頃ですか？

そうですね。フリーになりたてで、とにかく一つ一つ頑張らなきゃっていう頃だったかも。いろいろご縁を繋いでいただいたおかげで、パターンの仕事も忙しくて。
そんな中で、元上司が「オーダーメイドで服を作りたい人がいるんだけど、やってみる？」と話を持ちかけてくれたんです。結局その話は形にはならなかったんですけど、そいういう作り方もあるんだ、それだったら自分のブランドができるかな、と思って。友達に相談してみたら「やってみなよ！できるよ！」と背中を押してくれて。それで、ようやくブランドを始めてみることにしたんです。

-そんなきっかけがあったんですね。

はい、最初はいくつかベースの形を作って展示をして、その中から形を選んで注文をしていただくというカスタムメイドみたいなやり方でした。注文してくださったお客様のサイズに合わせてパターンを調整して、縫製も全部自分でやって。一着ずつ作ってお届けしていました。

-いい出会いがあって今の形になったんですね。パターンの仕事とは今も両立されているのですか？

はい、両方やれるのが自分にとってはバランスが良いなと感じています。
デザインとパターンって使う頭が全く違うんです。パターンの仕事は、作る形が決まっているので目的がはっきりしていますが、デザインはまず「何を作ろう」っていうところからスタートするので、形も素材選びも本当に自由。全部自分で決められる。それが面白いところなんですが、自分の好きなものに偏ると独りよがりになってしまって、全然売れなかったりするので（笑）。
世の中のトレンドやお客様の求めるものを冷静に形にできるデザイナーってすごいなあ、と改めて思うようになりました。

-両方できる方も珍しいと思いますし、両方の頭を使っていることが、somewearclothingのニュートラルな雰囲気とか着心地のよさ、アレンジのしやすさにつながっているような気がします。2wayで着られるものも多いですが、意識されているんですか？

特に意識はしていないんですけど、こういう風にしたら2wayにできそうだな、と作っている時に気づいて、結果として2wayになるということがほとんどです。いろいろ着れた方が嬉しいですよね。
そういえばこの前、過去のサンプルを販売するイベントを開催したんですが、その時に初めて試着してくださった方が「シルエットが、女性とも男性ともつかない面白い服だね」と気に入ってくださったんです。ユニセックスを意識して作っていないけど、そう言っていただいて、それが他にはない自分の個性なのかもしれないと気付かされました。

-ハチキさんの作る服の、派手さはないけどなんかちょっと新鮮だな、いいなっていうのは、着て感じるそういうところなんですね。展示会の予定はないということでしたが、何かこれからやってみたいことはあるんですか？

そうですねえ、ブランドを始めた時に10年続けようと思ってスタートしたんです。気づいたら10年もうすぐ経つんですよね。でも今も「まだあと10年はやりたい」と思っているんです。それは、子供達が独り立ちするまでは頑張らなきゃという気持ちもあってなんですけど。続けていくためには、関わっているみんなが元気で幸せな状態でいられるようにすること、作ったものをしっかり販売して新しいものを作ってっていう循環を作ることが何より大切なことだと思っています。
自分がいるのはとても小さな世界で、たくさんのご縁に支えられているので、近くにいる人たちが幸せでいれたらなあって。
でも敢えて挑戦したいことを挙げるとしたら、ちょっと海外のことが気になっています。日本以外の場所で自分の服が見てもらえたらいいなっていう漠然とした妄想なんですけどね。

-続けるって、地道な努力とエネルギーが必要ですよね。ハチキさんが関わる人を大切にして、コツコツと日々を重ねる先に、海外を見据えていること、とても素敵です。

ありがとうございます。好きなバンドがいるんですけど、みんな私よりずっと歳上なのにすごいパワフルで、生き生きとしていて・・・あんな風に歳を重ねても好きなことに一生懸命にずっと楽しくに仕事ができたらいいですね。憧れであり目標です。

-最後に今年の秋のPOP-UPの予定を教えていただきたいです。

itonowa Life
9月22日（金）〜25日（月）
CLASKA京都店
10月4日（水）〜29（日）
CLASKA新宿店
11月9日（木）〜30(木）

の予定です。
在店する日など情報はSNSをご確認ください。
somewearclothing instagram

-今回MKiMPで販売させていただく商品は9月2日公開予定
ご予約期間は9月3日から9月12日まで。
どうぞお楽しみに。