MKiMP:作品がたくさん並んでいますね。
Kanae:そうなんです、今年10月に開催した個展に合わせて制作したものや、自分のオンラインショップで販売しているものなどものなど、細々としたものがたくさんあります。
MKiMP:さっそくなのですが、今回の展覧会についていろいろとお話を伺いたいと思います。「月夜に咲くお花」というテーマはどのようなイメージですか?
Kanae:最近娘の保育園からの帰り道、自転車に乗りながら一緒に月を観察するんです。今日の月は大きいねとか、まんまるだね、とか感想を言い合って楽しんでいます。それと、私は最近朝にランニングをしていて、その時に走りながら道や家の庭に咲く花が目にとまるんですね。夜の娘との会話と朝のランニングの風景が重なり合って、この花は月の下で見たらどんなふうに咲くだろう、どんな表情や色に見えるんだろう、と思うことがあってそのイメージをテーマにしました。実際は夜は花は閉じてるかもしれないんですけど、咲いていたらきっと朝とは違って見えるんだろうなと思って。
MKiMP:日々の生活の中から思い浮かんだ風景だったんですね。
Kanae:そうですね。月の下で見たら、お花や葉っぱが見たことないような色になっているかも、というちょっとファンタジーな要素も表現できたらなと思ってテーマにしました。あとは今回洋服をベースにして刺繍をしたのですが、素材もいつもと違うし、白以外のベースで作ることもあまりないので、普段作っている作品とは違う色の組み合わせを表現したいなと思いました。
MKiMP:ニットにはカラフルな花の刺繍をしていただきました。刺繍糸ではなく、毛糸を使って刺繍しているんですね。
Kanae:毛糸も、モヘアのように毛足の長いものから太めの糸までいろいろと組み合わせて刺繍しています。刺繍糸とは違って、ふっくらと立体感のある刺繍になるのが面白いですよね。モヘアの糸は、可愛くてずっと取っておいたものを今回使用しました。
MKiMP:刺繍の図案や色の組み合わせはどうやって決めたのですか?
Kanae:ニットに刺繍するということで、いつものように下書きをすることができないんですね。だから、最初に紙にニットの形を書いて、その上に花の絵を書いてイメージしました。実際にニットを着てみて位置を決めて、中心にするお花を刺繍して、そこからバランスを見て刺繍を増やしていった感じです。色の組み合わせも、作りながら決めていった感じでした。
MKiMP:下書きなしなんですね!
Kanae:ニットにはチャコペンが使えなくて、下書きができないんですよね。全体のバランスを見ながら作るのが難しくて、想像以上に時間がかかってしまいました。
MKiMP:花のモチーフが全部違うし、華やかで豪華なニットに感動しました。受注販売という形でお披露目するバッグも、試作で見せていただいたものと最終的に決まったもののデザインが変わっていましたね。
Kanae:バッグのデザインも最後までいろいろ悩んでしまって。
MKiMP:そうなんですね。
Kanae:いつもは人形やポーチのように使っていただく巾着だったり、人に見せるというよりは自分が楽しむものが多いので、愛らしい動物のモチーフで表現することが多いんです。でもバッグは合わせる洋服や持っていただく人のことを考え出したら、可愛すぎるのは違うような気がして、気持ちがまとまらなくなってしまいました。
あとは手刺繍ならではの表現はどんなデザインだろうといろいろな花の刺繍を試して、最終的に大きなお花のモチーフをバッグの曲線に沿わせるようなデザインにしました。いつもは細かいお花で表現することが多いので、新鮮な気持ちで見ていただけたらなと思います。
バッグの形も、大きすぎず小さすぎず、季節を問わずに使えて、長く愛用してもらえるように丈夫な作りにして・・・と叶えたいことがたくさんあったので、素材選びも難航したのですがイメージ通りの形にできてよかったです。
MKiMP:最終的に素材はコットンで、内側にキルティングの生地を組み合わせて柔らかくても丈夫、そしてふっくらとした立体感が可愛いものになりましたよね!刺繍の美しさはもちろんなんですけど、遠くから見ても目に留まるお花の大きさも素敵。持った時に甘くなりすぎないのも嬉しいです。刺繍だけじゃなくて、形にもオリジナリティーがあるので、持ち歩かない時に部屋にオブジェのように掛けてあっても可愛い気がします。
Kanae:そういう楽しみ方もいいかもですね!あとは巾着の口のところの配色も気に入っています。リボンも重たいものを入れた時にも問題ないように細すぎいなベロアリボンにしました。裏と表どちらもベロアになっていて、紐が裏返っても気にならないようにして、実用的なものになっているので、安心して使っていただけると思います。
MKiMP:バッグはいろいろな方に実際に持っていただきました。中身に入れるものもあれこれ考えていただきました。それぞれのスタイルで楽しんでいただけたらいいですよね。
Kanae:そうですね、実際に持っていただいてほんとにいろいろな方に合うデザインになったと思います。オンラインでも使っていただくイメージができるかなと思うので、いろいろなコンテンツと合わせて展覧会を楽しんでいただけたら嬉しいです。
▷オンライン展覧会
12月5日〜12月20日まで
12月5日から少しずつコンテンツページがアップされますのでお楽しみに!