アトリエ探訪記 #5

アトリエ探訪記 #5
tiny C knit

 

主に子ども服のハンドメイド作家として8年のキャリアを積んできたchiemiさんが、いよいよ大人のためのニットウェアをデビューさせることになりました。chiemiさんとは私が勤めていたアパレルメーカーで出会いました。当時、私はバイヤーchiemiさんは販売スタッフとして同じブランドで働き、たくさんの好きを共有してきました。その後作家としての活動をスタートさせたこと、これから作っていきたい作品についてなどをおしゃべりしてきました。

(作品のオンライン販売は19日19時からスタートします)

 

 

SNSで作品を拝見していました。子どもの服以外にも色々な作品を作られていますね。いつ頃から作品を作り始めたのですか。

 いつか自分でものづくりをしたいという気持ちをずっと持っていたのですが、結婚して、販売の仕事を辞めたことが作家としてスタートするきっかけになりました。ちょうどその頃、個人でもネットで作品を販売できるシステムができたり、SNSが盛んになったりして作品を見ていただける機会を作りやすくなったんです。そこからイベントに出店する機会や、子供服のお店から注文いただいたりするようになって活動が広がっていきました。

でも振り返ってみると、幼い頃から自分で服やアクセサリーとかバッグとかを作ることが好きで10歳のごろからずっと編み物やビーズ手芸をしています。当時は本屋さんで編み物の本を買って、編み図を一生懸命読んで作っていました。学生の頃は、作ったものをプレゼントしたりすることがとても楽しくて。文化服装学院でものづくりを学んだ後に、手芸店で働いていたのですが、そこでは手作り用のキットの企画に携わりました。自分が直接作ったものではないですが、それも思い出深い経験です。

そうなんですね。作家活動としてはじめに作ったものは何だったのですか?

 最初はアクセサリーを作りました。小さなものを集めるのが好きで、ビーズとレース編みを組み合わせて作品を作っていました。そこから出産を機に子どもの服を作るようになりました。

子どもの服は長男が産まれて、服を選ぶときに着せたいと思うような服が見つからなくて、だったら自分で作ろうと思って作り始めたんです。かわいい女の子の服はたくさんあるのですが、男の子の服ってデザインが決まってしまっていてつまらないんですよね。作り始めたら共感してくださる方がたくさんいらっしゃって、子ども服は男の子の服ばかりを作っていました。

子どもの服でもニットは編んでいたのですか?

 はい、ニットのパンツを発表したときにすごくたくさんの方に作品を見ていただけて、そこからセーターやニット小物まで様々なアイテムを編みました。実はそんなに同じものを続けて編むということが得意なタイプではないので、たくさん注文が来たときには緊張しながらも修行のつもりでひたすら編みました。

大変でしたが、実際にお子さんが着ている姿をSNSにアップしてくださる方がいて。それを見て少しずつ自信がついてきたんです。たくさん着てくださっているなとか、喜んでくださったんだなとか、何年も使ってくださっているけど製品として問題がなさそうだなとか。そのおかげで繰り返し編むこともできたし、技術も少しずつ向上してきて、今回大人の服にトライしてみようという気持ちになりました。

アクセサリーからスタートして、作家としてたくさんの経験を積み重ねてきているのですね。大人の服を販売するのは今回が初めてになると思うのですが、デザインはどうやって考えましたか?

子ども服の時も大人の服の時も、デザイン画を書くことはせずに、まず手を動かしてみるところからスタートします。使いたい素材を選んで、作り始めるとなんとなく頭に浮かんでいたもののイメージが膨らんで具体的になっていきます。最初に設計図みたいなのがないので、サイズやシルエットを調整しながら何回も解いて編んでと繰り返して作っていくんです。そうやって自分で作りながら考えて少しずつ形ができていくのが好きで、自分に合っているんですよね。だからデザイナーになるのではなくて、作家としてものづくりをしているのだと思います。

なるほど!自分で作っていくことが好きなんですね。今回はバッグスタイルが印象的な形ですが、それも編みながら考えたのですか?

そうですね。春のニットなので着たときに軽やかな雰囲気にしたいなと思ったのと、色々な重ね着が楽しめたらいいなと思ってサイズをアレンジできるようにできたらいいなと考えながら編みました。

サイズを大きくしただけだと、着膨れして見えてしまう気がするので、アームホールやバストのあたりのサイズをゆったりさせて、その分ウエストのところにポイントを持ってきたり、斜めの切り替えを入れたり、メリハリを作ってスタイルアップして見えるように工夫しました。自分自身も体型のカバーとか、着こなしのバランスとかが気になるので、そこにはこだわって工夫して作っています。着心地やコーディネートに関しては、アパレルで販売をしていたころにたくさんお客様と接して、プロのものづくりに触れてきた経験も糧になっていると思っています。

 

着心地は大切ですよね!編み地も棒針編みとかぎ針編みをミックスしているもあるんですよね。

 はい、セーラーカラーのニットは二つの手法で作っています。セーラーカラーのニットを作りたいと思っていたのですが、自分らしい工夫ができたらなと考えてかぎ針編みのモチーフを後ろにつけました。取り外しすることができるので外せばつけ襟のようになります。複雑な形のように見えますが、サイドにスナップボタンをつけて着脱しやすいようにしました。

模様編みのニットも撮影の時に皆さんに好評でした。この編みはどうやって考えたのですか?

 アンティークのお皿の模様とか古い図鑑の花の絵とか、ケーキのクリームを絞った時の模様とか好きなモチーフをニットで形にできたらなと思って作りました。具体的な服を見るより、服とは別のものを見て思いつくことが多いです。モヘアはとにかく大好きな素材なので、冬に限らず春も身につけたいという気持ちで考えました。

 

どのデザインにもchiemiさんの好きがぎゅっと詰まっていますね。

 はい、せっかく作家として活動しているのだから、自分の好きを追求して自分らしい表現をしていきたいなと思っています。たくさん作れるものでもないですし、万人に好きになってもらえるものでもないから、共感してくださる方の元に届いて、ずっと大事にしてもらえたら何より嬉しいです。大人のための服を発表するのは今回が初めてでとても緊張していますが、まずは色々な方に見て着ていただきたいです。

そうですよね、私もデビューコレクションを一緒に発表できてとても嬉しいです。オンラインでの販売も108kagurazaka店でのイベントも楽しみですね。今日はありがとうございました。

オンラインでの販売は19日 19時から→時間になったらこちらのページに表示されます。

1月20日から28日まで108kagurazaka店にて、tiny C knitのご試着&ご予約会を開催いたします。詳しくはNEWSをご確認ください。